労基法第37条

労働基準法第37条は、労働者の法定時間外労働における割増賃金について定めた条文です。使用者は、労働者に、時間外労働、休日労働、深夜労働を行わせた場合、法令で定める割増率以上の率で算定した割増賃金を支払わなければなりません。

月給制の場合

1時間あたりの賃金額はどのように求めるのでしょうか。

月給制の場合 月の所定賃金額÷1か月の平均所定労働時間

1か月の平均所定労働時間は1日の所定労働時間×1年の所定労働日数÷12ヶ月で計算できます。

1時間あたりの賃金額を求めるために、これだけの計算が必要となります

 

日給制の場合 

日給制の場合には、もう少し計算が簡単です。

日給として定めた金額 ÷ 所定労働時間=1時間あたりの賃金額

日給が16,000円の方の例 16,000円÷8時間=2,000円

1時間あたりの賃金額は2000円となります。

ここまではとてもシンプルですが、手当の支給がある場合には、やはり複雑になります。

手当部分の計算は月給と同じ扱いとなります。(日給の基本給と手当を分けて計算)

手当の額÷1か月の平均所定労働時間

1か月平均所定労働時間は1日の所定労働時間×1年の所定労働日数÷12ヶ月で計算できます。

1時間あたりの賃金額は、基本給部分と手当部分を別々に計算して、これを足します。

年俸制の場合

年俸制でも、法定労働時間を超えて働いた場合は「割増賃金」を支払わなければなりません。

あらかじめ年俸額に固定残業代やみなし残業代を含めることは可能です。例えば、「年俸額には〇時間分の残業手当を含む」などと規定しておく方法です。この場合、基本給が○○円、固定残業代が○○円と明確に区別できることが必要です。

また、管理監督者などの取り扱いに注意が必要です。本当に管理監督者なのか。

割増賃金の基礎となる賃金額から控除するもの

1 家族手当
2 通勤手当
3 別居手当
4 子女教育手当
5 住宅手当
6 臨時に支払われた賃金(結婚手当など)
7 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

計算から除外できるのは、家賃や住宅ローンなど、住宅にかかる費用に基づいて算定されている場合だけです。

具体的な計算例

週休2日制・月給制

365(1年間)÷7(1週間)= 52.14 ⇒52週

完全週休2日制の場合には、52週×2 よって、104日(平均)

※年によって、休日数は若干異なります

土日=104日
国民の祝日=14日 土日祝日で118日
夏休み8月に3日程度
冬休み1月に3日・12月に2日 ※土日を除く
合計125日~126日 

1年間に休日が125日ある場合

1年の所定労働日数

365日-125日=240日

240日÷12か月=20日

7時間×20日=140時間  =1か月の(平均)所定労働時間

月給30万の方の例
30万円÷140時間=2142.8円 端数は四捨五入または切り上げなので、2143円となります
※8時間で計算すると、160時間、1,875円となります。

割増賃金のルールを理解して、正しく計算をしましょう。