日をまたぐ労働について
顧問先から割増賃金の計算について、ご質問をよくいただきますが、その中でも、よくあるケースをご紹介させていただきます。
夜間の残業が22時を超え、その日には終わらず、さらに午前0時を超えるような場合、時間外労働、深夜労働の割増はどのように取り扱うのでしょうか。
多くの企業では、ここまで残業することはないのかもしれませんが、顧問先のいくつかは、深夜も頻繁に仕事をしております。もちろん、長時間労働には、十分に配慮し、月当たりの労働時間は一定に抑えておりますが。
一日の考え方について
「昭和63年1月1日基発1号」通達では下記のように示されております。
「一日とは、午前0時から午後12時までのいわゆる暦日をいうものであり、継続勤務が二暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも、一勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の一日の労働とすること。」
このことから、時間外労働により午前0時を超えて、翌日まで及ぶ勤務を行った場合でも、全体を前日の勤務時間として取り扱うこととなり、午前0時を境に勤務を分離することはしません。
何時までが一つの勤務なのか
日をまたぎ、さらに翌日の始業時刻を超えるようなケースもあるかと思います。では、どこまでを一つの労働として取り扱えば良いのでしょうか。
行政通達において、時間外労働が引き続き翌日の所定労働時間に及んだ場合には、「翌日の所定労働時間の始期までの超過時間に対して、法37条の割増賃金を支払えば法37条の違反にはならない」とされています。
つまり、時間外労働としてカウントされるのは、最長でも翌日の始業時刻までとなります。(午後10時から午前5時なでの深夜部分については、別途深夜業の割増賃金が支払われます。)
残業が日付をまたいで休日労働に切り替わる場合
時間外労働が午前0時を超えてしまい、その日が休日である場合は、午前0時以降の勤務はたとえ前日からの継続勤務であったとしても、休日労働として扱います。この場合は午前0時以降は休日割増が必要となります。休日の時間外というものはありませんので、割増率は休日+深夜で160%が最高となります。
日をまたぐ場合には、翌日に注意していただき、平日と法定休日の取り扱いを間違えないように気を付けましょう。
深夜労働について
労働基準法では、22時~翌5時を深夜労働時間として扱います。この時間の勤務は1時間当たりの賃金に25%以上を乗じた割増賃金を支払わなければならない。
深夜時間帯の残業では法定時間外労働と深夜労働の割増率が合算されます。つまり、1時間当たりの賃金に50%以上を乗じた分が1時間当たりの賃金に加算されます。
また、月60時間を超える時間外労働については、割増率が50%に増加しますので、深夜時間帯に残業をした従業員が、その基準に該当する場合には、法定時間外労働50%以上+深夜労働25%以上となり、合計75%以上の割増率になります。
給与計算をする上で、割増率はどうしても間違いが生じやすく、より正確な計算を心掛ける必要があります。
しかし、帳簿を確認して、電卓を使って計算しても、管理には限界がありますので、勤怠管理システムの導入がおすすめです。