労災保険の給付について
[労災保険が対象としている給付]
〇疾病 〇負傷 〇障害 〇介護 〇死亡
→ 業務上・通勤
[対象としていない給付]
×出産 ×老齢
疾病や負傷が対象
療養補償給付
業務上の負傷または疾病について、労災病院または指定病院などで療養する場合に必要な療養の給付が行なわれます。また、療養の給付をすることが困難な場合などに必要な療養の費用の全部が給付されます。いずれも自己負担はありません。
休業補償給付
業務上の負傷または疾病による療養のため休業し、賃金を受けない日が4日以上に及ぶ場合、休業4日目から(待機3日間)、休業一日につき給付基礎日額の60%相当額の給付が行なわれます。自己都合で退職したとしても、引き続き給付は行なわれます。
※実際の給付は、労働福祉事業から平均賃金の20%が特別支給金として一緒に支給されます。
傷病補償年金
業務上の負傷または疾病が、療養開始後1年6ヵ月を経過し、治癒せず、傷病の程度が傷病等級1級から3級に該当するときは、休業補償給付に代えて傷病補償年金が支給されます。
障害が対象
障害補償給付
障害補償給付には、年金払いと一時金払いがあります。業務上の負傷または疾病が治った後に、障害等級1級から7級までに該当する障害が残った場合に障害補償年金が支給され、障害等級8級から14等級までに該当する障害が残った場合に障害補償一時金が支給されます。
介護が対象
介護補償給付
障害補償年金または傷病補償年金の受給権者がその支給事由となる一定の障害によって介護を要する場合、その費用の一部または全部が支給されます。
死亡が対象
遺族補償給付
遺族補償給付には、年金払いと一時金払いがあります。遺族補償給付は、業務上死亡した場合に、遺族に年金が支払われます。遺族補償年金の額は、遺族補償年金の受給権者及び受給権者と生計を同じくする受給権者の数によって定められています。遺族補償一時金は、当該年金を受け得る遺族がいない場合などに支払われます。
葬祭料について
業務上死亡した人の葬祭を行なう場合に支払われます。
請求書の様式について
■ケガをして、医療費を労災扱いにしたり、休業した際のお手続き。
→労災の事務で多く使用するのは、様式5号と8号です。
■通勤災害は様式が異なります。
→同じような請求書であっても16号の3など、16号関連は通勤災害で使用します。
実際にケガしてしまったら、どうするの?
お手続きの流れについて、様式5号を使用する場合の例をご説明します。(会社側の対応)
①医療機関で治療を受けさせる。
このときに、医師に業務中の負傷であることを言う。
(健康保険証での診療ではなく労災であることをきちんと伝える)
※この段階では、様式5号はまだ準備ができていなくて結構です。
②会社では様式5号の作成
負傷労働者についての状況をわかりやすく、丁寧に記入する。
どこで? 何をしていて? 何が原因で? どうなって? どこが?(身体の部位) どうなった?(骨折など)
③作成した様式5号は、負傷した従業員に渡します。
④負傷した従業員は、様式5号を受け取った段階で、なるべく早く受診した医療機関に提出します。
(①の段階で、預り金などを支払った場合には、この時に返金されます)
医療費を労災保険扱いにする手続きは、これで完了です。労災を扱っている医療機関から労働基準監督署に書類がまわります。
現物給付と現金給付について
治療を受ける医療機関によって手続きが異なります。
「療養の給付」=様式5号
労災病院や労災保険指定医療機関・薬局等(以下「指定医療機関等」といいます)で、無料で治療や薬剤の支給などを受けられます。(これを現物給付といいます)
「療養の費用請求」=様式7号
近くに指定医療機関等がないなどの理由で、指定医療機関等以外の医療機関や薬局等で療養を受けた場合に、その療養にかかった費用を支給する現金給付です。
→指定医療機関等で受診し様式5号を使用することで事務の負担は少なくて済みます。
労災保険指定医療機関
労災保険指定医療機関とは、労災保険法の規定による療養の給付を行うものとして、労災保険法施行規則第 11 条第1項の規定により、都道府県労働局長が指定する病院又は診療所のことをいいます。労災の治療に際して、労災保険の範囲内の治療を、労災保険給付の現物給付(医療行為)として提供します。そのため、治療を受ける労働者は病院で治療費を負担する必要がありません。
労災保険の請求に、ご不明な点などがございましたら、辻本悟史社会保険労務士事務所までお気軽にご相談ください。丁寧にご対応させていただきます。